契約とは
まず「契約」ということから。
契約は、対等平等な2者間で、一方からの「申し込み」と他方の「承諾」によって成立するものです。 これを、「諾成契約」と呼びます。契約は口頭だけでも成立します。
日常の買い物を考えてみましょう。
「これをください」というのが、お客さんの「申し込み」で、
お店の「ありがとうございます」とうのが「承諾」となります。
日常の買い物で、お店から「それでは契約書にサインを・・・」ということはありませんよね・・・
日常の買い物といった範囲ではない場合に「契約書」が登場すると考えていいでしょう。
契約自由の原則
対等平等な2者間での契約では、民法は、「契約自由の原則」(私的自治の原則)を前提としています。 人身売買や殺人依頼など、公序良俗に反するような契約は無効となりますが、それ以外は、原則、自由に契約することができます。
自由に契約する
契約内容、契約の相手、契約をするかしないか、契約の形式が自由です。
賃貸借契約では
賃貸借契約も、民法に定められている契約です。本来は、対等平等な私人間で契約されるべきです。
しかし、実際に、対等平等でしょうか・・・?
立場の強い貸主が定めた契約内容を、一方的に、立場の弱い借主に示されます。借主は、承諾するかどうか迫られるわけです。 借主が、一方的に不利な規定を拒否したくても、貸主が認めてくれなければ、契約そのものが成立しません。
貸主は、「あなたとは契約しない」と拒否できますが、借主は、契約条件、内容の変更を請求することはできません。
借地借家法による補正
実際の賃貸借契約の状況を考慮して、民法だけでは立場の弱い借主が一方的に不利であるので、その不平等を修正するために、借地借家法が制定されました。
借地借家法では、
「強行規定」を設け、一部の規定は、 「契約書にどのような記載があっても、借地借家法の強行規定に反するものは、借主に一方的に不利な条項は無効である」
としています。
消費者契約法による補正
さらに、2001年4月には、消費者契約法が制定され、
「消費者の利益を一方的に奪う契約条項は無効である」
とされました。
賃貸借契約書に記載されていても、消費者契約法に違反するとされた場合は、借主は従う必要がありません。
実際の契約時には
具体的な記載条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反する場合は、契約しても、条項としては認められません。
後のトラブル防止のため、疑問があれば「法律上認められないと思うので、再考か、削除してもらえないか?」申し出ることができるでしょう。
しかし、現実には、「無理に契約してもらわなくても結構。」と、貸主が契約そのものを拒否してくる可能性が高いかもしれません。
「借主に一方的に不利な条項がある」と思える場合、「不利を承知でも契約したい」のか、「納得できなければ契約しない」のか、借主としてはっきり決めて、貸主や不動産業者と交渉していく必要があるでしょう。
貸主や不動産業者の「早く決めないと、契約できなくなりますよ」とか、「これだけの条件の物件は、すぐには見つかりませんよ」とかの言葉に惑わされずに、冷静に考えて、賃貸借契約を結ぶ必要がありますし、賃貸借契約書もじっくりと検討するべきです。
後のトラブルを防止するために、賃貸借契約書のポイントを知りたい方は、ご相談ください。